「かっぱ……?」 「うん」 「河童?」 囁くように言って 、彼女は笑いだし た。 「あんたそんなこ と言うために電話 してきたの? 呆 れちゃう」 「そうなの」 彼女は、きゃはは と高い声をだしな がら咳きこむ。 「おい大丈夫かー」 のびのびした男の 声が聞こえてきた。 「大丈夫」 くぐもった小さな 百合子の返事。受 話器を何かでおお ったらしい。