砂利道を中程まで 歩いて振り返ると 、河童はまだ立っ ていた。ちょこち ょこと手をふって いる。 「またきっといら してくださいね」 ひし形にクチバシ を開いた。 「……う」 潤んだ皮膚が日射 しをはねて光って いる。心の柔らか い場所にしみこん でくるような、の んびりして童話じ みた光景だ。 「もう来ないよ」 自分に言い聞かせ るように呟いた。