「どうぞ」

 ひょこひょこ崖を

 登ってきて頭をさ

 しだした。

 「ありがとう」

 濡れたそれを手に

 取って、風に荒ら

 された髪をおさえ

 つける。

 「いやいや」

 かぱっと口をあけ

 、彼ははにかむ。

 「大したことでは

 ござりません」

 「それじゃあ、さ

 ようなら」

 バイバイすると、

 ばいばいされた。

 気持ちよく、じゃ

 りじゃり地面を踏

 む。