「じゃあ帰るね。

 さようなら」

 立ち上がったと同

 時に、突風が髪を

 かき乱した。帽子

 がブーメランのよ

 うに空を舞い、ぽ

 とりと水に浮かん

 だ。するする流さ

 れていく。

 「あー……」

 帽子を見送る。

 「ちょいとお待ち

 を」

 彼は得意気に胸を

 張り、するりと水

 にとけこんだ。す

 ぐにぽちゃんと顔

 をだす。皿の上に

 帽子をかぶってい

 る。