だけど彼には水か きもクチバシもお 皿もない。 「そこまで謝らな くても。別に気に してませんから」 答えると、彼は目 を輝かせた。 「ありがとうござ います」 それからなんと なく、ずるずる、 顔を合わせる仲に なった。 ひとりきりの休 日には川へ行く。 夏が来ても氷は緩 むことなく張って いる。ともかはそ こを裸足で歩き回 り、地団駄を踏み 、手紙を置いて帰 る。