「これでしょう」

  真っ黒?

  皿の内側を見せ

 られて、首をかし

 げると裏返してく

 れた。桃色がかっ

 た白蛇が、淡い緑

 色に浮かんでいる

 。桜の花が優しく

 散っている。あっ

 たらいいなと思っ

 ていた通りの皿だ

 った。

 「それください」

 「ありがとうござ

 います」

 店員は浮き浮きと

 レジに戻った。

  ビニール袋をぶ

 らさげて店を出る

 と、風が気持ちぶ

 ん暖かくなってい

 た。