洋二と百合子の前

 を通るのは気まず

 いが、あの三人に

 巻き込まれるのは

 かなり面倒だ。

  どうしよう。

  バッグを探った

 ら、大判のハンカ

 チを見つけた。仕

 方ない。それをか

 ぶって、出口へ急

 ぐ。

 「おめでとうござ

 います」

 うっすらとした悔

 しさで曲がりそう

 になる口を整え、

 しっかりと発音す

 る。

 「ありがとう、と

 もか」