「そうだね」 さらりと返された 。唇の内側を噛ん で視線をあげる。 少しも悪気はない という様子の、悪 意がもやもやと立 ちのぼるような笑 顔にぶつかった。 スッと背筋が冷た くなった。なんで と聞く気にもなれ ない、不気味な雰 囲気を纏っていた 。百合子がこんな に得体の知れない 人間だとは思わな かった。こんな人 と結婚して、洋二 は大丈夫なんだろ うか。ちゃんと幸 せになれるんだろ うか。