「かわけーん、も う!」 肩で息をしながら 、湿った小石を拾 いあげ、シーンと 張った水に投げこ む。ぽしゃんっと 軽やかな音がした 。ごつごつとした 岩場に腰をおろし 、目を凝らす。緩 やかに波打つシー ツを思わせる流れ は、するすると川 下へおりていく。 緑色は、影さえ現 さない。 「まさか本当に出 て来ないつもり」