紙袋とビニール袋 を何重にもした中 で、虚しく眠って いる。デートの度 に、洋二の視線が 裸の薬指へいくの を知らなかった訳 ではなかったけれ ど、もったいなく て身につけられな かった。彼は何に も言わなかったが 、たくましい薬指 には、いつもちゃ んとプラチナが輝 いていた。 「好きだったよ」 するすると塩辛い 水が、したたり落 ちていく。厚ぼっ たくなってきたま ぶたを、ごしごし こする。