道管が光っている ように、隅々まで ぴかぴかしている モミの枝先に触れ 、まぶたをぬぐう 。目頭が熱を帯び 、つるつるした涙 が頬を滑る。 「絶対結婚しよう って、言ったじゃ んか」 夢の中の、そして 思い出の中の、洋 二に囁く。夢が幸 せだったぶん、現 実がひとしお虚し く感じられた。三 年前の冬、貰った その指輪は、今も ひきだしの奥に大 事にしまってある。