「か、かわ、かわ けん!」 バタバタと彼のカ ケラを探す。ひん やりしたゼリー質 の、吸いつく様で 後腐れのないさわ り心地の体温を求 めて、神経を尖ら せる。が、……ど こにもない、どこ にもいない。 「かわけん」 爪先から力が抜け ていく。おおいか ぶさってくる波の 渦に、意識ごと底 へ底へ引きずりこ まれた。