上流に足をむけて 、のんびりと川を 下っている。 「春ですな」 耳のそばでふかふ かした声があがっ た。 「春だね」 同意する。油断す ると寝てしまいそ うな陽気だ。小鳥 のさえずりがコシ ョウみたいに降っ てくる。 「これってあたし 達、お似合いって ことかしら」 あくびしながら、 ふざけ半分に尋ね る。 「この感じは、そ うかもですの」