びくつきながら片 目をあけると、空 があった。今にも 透けていきそうな 水色に、眠気を誘 う雲がたなびいて いる。空気の手の ように思えたのは 川面だった。ぬく ぬくした、春のよ うな陽気の中を仰 向けに流されてい く。左右の水際か ら広がる草原には 、華奢な茎に雨粒 ほどの花をつけた 植物で満ちている 。ひしめく花の間 で、繊細な模様の メタルの蝶が揺れ ている。