「木流しさんもい い夜を」 肩を組み歌う泥酔 した男達をよけて 、彼はすいすい泳 ぐように行ってし まった。涼しい風 が首筋を撫でる。 髪に飾っていた造 花が、ぽろぽろと こぼれ落ちる。ド ォンという地鳴り を伴って、花火が 打ちあがる。 「さあさあ皆さん よっといで! カ ップルの川流れだ よ」 快活な声が唐突に 響き渡った。個人 主義のどんちゃら 騒ぎが、一瞬シー ンと静まり返る。