あさっての方向を 眺めていた木流し は、へ? っと小 首をかしげた。 「マリーアントワ ネットだよ。知っ てるかい」 「おお、無邪気な 浪費家の乙女であ りますな!」 「さすがはみどり 川、博識だな。で は、そろそろ行く よ」 木流しは緩やかな 動作で椅子を離れ 、軽くこうべを垂 れた。 「それでは良い夜 をレディともか」