知性の欠片も感じ

 られない、ひどく

 不気味な笑顔だ。

 言葉をなくしてい

 る彼女を誰かが助

 け起こした。視線

 はバケモノに釘付

 けで、バケモノ以

 外は視界に入らな

 い。

 「ここにいらして

 くださいレディ」

 椅子に座らされた

 。煙ったい香りが

 視野の端を漂う。

 下駄を履く、陶器

 のようなかかとが

 じょじょに焦点に

 近づいていく。