皿から湧いた桜の

 花が、ひらひら舞

 う。泣きそうな顔

 で彼は手を伸ばし

 たが、遅かった。

 バクの肥大化した

 足が容赦なく踏み

 潰した。皿の下に

 は骸骨がむき出し

 になったような、

 河童の絵などでよ

 く見る皿があった

 。ただし、色はど

 す黒い。

 「皿が……」

 呟いて、彼はふる

 ふる震え始めた。

 浅みどりの皮膚が

 見る間にどす黒く

 変わり、病のよう

 な赤い斑点を不気

 味に浮かびあがら

 せる。