「どうして」

 ナイフのような突

 風に、一筋、顔の

 側面を切りつけら

 れた。生暖かい液

 体が涙のように頬

 を伝う。

  かまいたち? 

 まさか……ね。

  ぷつぷつ汗がふ

 き出してくる。

 「それね、もらっ

 たのよ」

 もう一筋、ほっぺ

 たが裂ける。どう

 やらバクがやって

 いるらしい。助け

 を求めようと視線

 を惑わせるが、み

 んな無関心に騒い

 でいる。