山高帽を被った、 整った顔立ちの ……恐らくだが少 女、が切れそうな 目でこちらを睨ん でいた。 「全然ちっとも知 り合いじゃないで すよ」 「そっか、じゃあ 飲もう」 すみれ色のアイシ ャドウが滲むまぶ たを伏せ、銀の盆 を運ぶネズミから グラスをふたつと ボトルを一本もら い、華奢な鼻を生 意気そうに上むけ て、 「美しい夜に乾杯」 白けるセリフを舌 にのせた。