シルクハットを浮 かせて挨拶し、ぽ すぽすと拍手する 。燕尾服なんか着 ている。 「お見事。それで は良い夜を」 くつくつくぐもっ た笑いを残し、去 っていった。 「カボチャ亭の野 郎だな。あんたあ いつの知り合いか ?」 すぐ隣で唸るよう な声がした。 今度はなんなの ……。 うつむき加減に 横目で見る。