「あたし、ああい うの踊れないよ」 「あれはわしも ……。わしらは、 ほれ」 河賢はポッと赤く なって腕を絡ませ てきた。もう片方 の手を自分の腰に あてて 「もっと簡単なや つです」 にっこりする。近 くでぎきぃーッと 黒板を引っ掻くよ うな音がして、斜 め上に目をやると 、五段重ねた不安 定なドラム缶に腰 かけたナイスバラ ンスな男がヴァイ オリンにあごを添 えて、ニッと笑っ た。