「河賢はそれ、ド ラキュラ伯爵でし ょ」 「左様」 彼はくっとクチバ シをあけて、かぱ っと脅かすように 鋭い犬歯をむいた 。裏地が赤いサテ ンのマントをひら ひらさせる。 「わがはいは毎年 これなのである。 ドラキュラは憧れ なのだ」 急に偉そうな口調 になって、うぉっ ふぉんとわざとら しい咳をする。姿 勢を正して、ぴら りと水掻きを差し 出した。