それは怖くてでき ないでいる。事実 を認めたくないの に、何もかもハッ キリさせようと彼 女を追い詰めるよ うな事を言う自分 がよくわからない 。でもこのままじ ゃ駄目だから……。 唇の内側を噛んで まっすぐに百合子 を見守った。 「だから、お楽し みだってば」 彼女は面白そうに こちらを眺め、頬 杖をついた。鈍く ひかるベージュの 唇で弧を描き、瞳 をらんらんと輝か せる。