ぱふっぱふっぱふ っと砂を踏みなが ら 「夜は蝋燭を灯し たまま寝るんです よ。ここだけの話 し、怖いんです」 「へぇ」 妖怪なのにねぇ、 蝋燭をねぇ。彼女 は胡散臭そうに彼 を見る。 「蛇が出てきたよ」 「蛇が」 「河賢の声と女の人 の声で喋るやつ」 「ほぅ?」 彼はつかの間、遠 い目をする。 「ともかさん。蛇 と言えば、わしの 初恋の方は蛇でし たよ」