彼女はほうきを甲 羅につめて、置い てかれまいと彼の 手をしっかり握り しめた。 「暗かった」 「どのくらいです か」 「真っ暗だった」 ひたひたひたと浅 瀬にむかって歩き 始める。 「それは心細かっ たでしたでしょう」 「いいえ全然」 すまして答えると 、彼は感じいった ように瞳を潤ませ た。 「ともかさんは強 いんですな。わし は暗いところが好 きではござりませ んで」