さっきまで居た場 所はもっとずっと 暗かった。水も、 もっと冷たかった ような気がする。 幻覚? ともかは そろりと彼を見た 。それにしては生 々しかった。緩ん でいた警戒心をピ ッとひきしめる。 そういえば妖怪な んだよ、彼は。変 な妖術でも使った のかも。 「そうなの? じ ゃああたし、夢で も見たのかなあ」 わざとらしく語尾 をのばして、じろ りと睨む。