「あたしを置いて どっか行ったでし ょう。怖かったん だから」 「どこにも行きま せんでしたよ」 花弁を散らしなが ら欠けた皿を整え て彼は反対側に首 をかしげる。 「ともかさんも、 ずっとここに居た じゃあありません か」 「そんなわけな ……?」 注意深く視線を巡 らせる。日射しの フェンスが足元で ゆらゆら揺らいで いる。