「なりませんです」

「なぜでしょう」

 「あなたには蛇の

 恋人がおりますか

 らでござります。

 逃げるおつもりで

 しょう」

 聞いたことのない

 、暗い河童の声が

 水を震わせる。低

 い、重たい声の粒

 子がともかの髪の

 毛に絡まりつく。

 「恋人が居るとわ

 かっていて、だし

 ては下さらないの

 ですね」

 女の声がすすり泣

 く。

 「おうらみ申しあ

 げます」