河童の真似をして いるわけじゃない だろうけど、かぱ っと間抜けに口を あけた貝殻が、そ こかしこに落ちて いる。しゃがんで 見てみるとどれも 中身がなかった。 「空っぽ」 呟くと、こぽこぽ と気泡が昇る。驚 いたように砂を盛 りあげ、ざらざら した色の魚が矢の ように飛んでいっ た。 「殺風景だね」 「むぅ……」 頭上でゆらゆら揺 れる海面から、網 目模様の日射しが 降り注ぐ。