彼女は眉間をつめ

 た。潮風も太陽も

 砂浜も、べたべた

 してあまり好きじ

 ゃない。

  それにどうして

 河童なんかと海に

 行くのよ。

  好きでもない海

 に行く理由として

 ともかが思いつく

 のは、恋人といち

 ゃつくことくらい

 だ。河童といちゃ

 つく自分を想像し

て左右に首を振る。

 「電車に乗れば五

 駅ですよ」

 彼は瞳をくるくる

 光らせてこちらを

 見上げてくる。