「あんた、それ、 いい紅かい」 背筋がぞくぞくし て振り返ると、全 体的に色素の薄い 女が居た。長い髪 をしたたらせ、銀 の着物に桜色の帯 をきゅっとしめて いる。 「いい紅です」 定価を思い浮かべ てくっきり頷く。 「見せておくれよ」 手渡すと、金色の 容器を箱からだし て、彼女はふたを はずした。手の甲 にルージュをすべ らせて満足そうに 微笑む。