彼はますます朱色 を濃くした。ひた ひたと底へ底へ、 斜めに坂を下って いく。空から差し てくる光が徐々に 薄くなり、しまい には途絶えた。真 っ暗闇をおっかな びっくり歩く。足 元を確かめるよう にしてじっくりと。 河童は迷いなくス タスタ進んでいく 。不意に百合の香 りがして顔をあげ ると、目の端を提 灯がよぎった。 「提灯はいらんか ね」 ひぇ。 声をかけられて びっくり仰天。