しわんしわんと強

 弱をつけて、セミ

 が鳴いている。

 「ともかさんです

 ね」

 唇を収集していた

 とは思えないぐら

 い温もりのある口

 調で彼は何度も唱

 える。なんだかこ

 そばゆくなって、

 ともかは空を仰い

 だ。