本当のことである 可能性が高い。へ へへっと冷や汗を かいて笑いながら 、ルージュがおさ まっている細い箱 をもてあそぶ。 「この口紅あたし には似合わないん だよね」 どす黒い青だし。 高かったから捨て るのは勿体ないけ ど、あげるにして も知人の中にこの 色をつけそうな顔 はない。 「いらないのです か」 「うん」 「では!」