くすくす笑いと体 温が降ってくる。 毛布と勘違いしそ うな軽い抱擁だっ た。 「れんこんじゃな いよ、結婚。宜し くね」 おでこにキスされ た。 あれはプロポー ズではなかったの か。 額を優しく押さ えながら、手すり に顎をのせ、すぐ 下にある電線を見 おろした。ちゃき ちゃきと歩いて行 くおばあさんと猫 背の若者のつむじ が、道路ですれ違 う。