「え」 薬指に一生懸命エ ンゲージリングの 幻を思い浮かべて いたともかは、青 ざめて首を左右に 振った。 「祝福できない」 「いいのよ、それ で。冷めた目で見 物してればね」 堀田さんはニヤリ と笑う。 「あんたも女なら 、引っ掻き回して やるくらいの心意 気を持ちなさいよ」 トイレでの会話 は、思惑通り、次 の日には噂になっ ていた。さて、百 合子はどう反応し てくるだろう。