陽と2人で教室に行くと……
みんなの視線がとても痛かった―――…。

でも、隣に陽がいてくれるだけでいい。


由美や優、奈菜があたしの味方でいてくれるならそれでいい。






「あのさー…… 絢いじめてんのだれ?」


「陽はなんで和泉さんばっかり構うの?」


「これまでいつだって本命の女の子なんていなかったじゃん」






クラスの女の子たちが口々に言う。







「うるせぇよ」







静かに響いた陽の声。


そして……
あたしの肩を引き寄せて、陽が厳しい口調で言った。







「俺が絢に告ったんだけど、文句ある?」


「ちょっ……陽!!」


「どうやってここまで真面目な1組の女子を言いくるめたかしらねぇけど……、絢を自分たちと一緒だとか思うなよ。こんなあくどいやり方しかできねぇ女たちなんて相手をする気にもならねぇ。二度と声かけんなよ。……瑞希」







廊下から1組をじっと見ていた瑞希ちゃん。
そちらに視線を向けた陽。

瑞希……って陽は気づいてたんだ……。


陽の厳しい口調に瑞希ちゃんが泣き出した。

……泣きたいのはあたしも同じだよ。







「しらじらしいよね」


「本当に」


「いちばん悔しくて、泣きたい人がどうして“絢ちゃんの味方です”みたいな顔してるの?」






瑞希ちゃんを慰めに来た女の子たちが、
今度はなにか違うことを口々に言い始めた。






「ね? 由美」






由美……?


瑞希ちゃんといつも一緒にいる女の子が由美を責めはじめ、
みんなの視線は由美へと向けられた。

どうして、由美が出てくるの……?