「優莉~、逢いたかったよぉ」


産婦人科へ行くと、あたしはメロメロだ


だってママが産んでくれたんだから、可愛がらなきゃ!


ママが可愛がれなかった分あたしが可愛がってあげなきゃね!


「莉子声でけ~」
「いいでしょ別に!だって可愛いんだもん」
「親バカかよぉ」
「親ばかでなにが悪いのよ!」


やっぱりあたしは素直じゃない・・・


「でもやっぱり女の子と男の子じゃ全然顔がちげーなぁ」
「えっ?そうなのみたいみたい!!健斗君に逢わせてぇ!」


健太君は、『しょーがねーなぁ』と言って、あたしを連れて行ってくれた


よかった、もうあの時の健太君はいない


今は元気だ


あたしも、元気になってるのかなぁ


「あれあれ!健斗~」
「やだぁ、健太君だってメロメロじゃない」


ふふっと笑ってあたしは健太君のほっぺたを突っついた


「こら莉子―――!」
「きゃ~、ごめんなさ――――い」


あたしがほっぺたを突っついたから、健太君が起こってあたしのほっぺたをつまんだ


でもそのつまんだ力は、すごく弱くて手加減してくれてるんだなって思った


やっぱり健太君は優しい、健太君がこんなに優しいんだから健斗君だって優しくなるよね


「も―帰ろっか!」
「あっ待ってあたし先生に話しあるんだ。先帰っててもいいよ」
「いや、待ってるよ」
「そう?ありがとう」