「どうぞ」


校長先生と担任のあとに続いて、あたしは校長室へ入った


担任はわけがわからないといった表情だった


校長も、少し緊張してるようだ


あたしは、表情一つ変えずに椅子に座った


「話しがあるって何のことだい?」
「はい、昨日母が亡くなりました」


あたしの言葉に、担任たちは驚きを隠せていなかった


「・・・一つの命をあたしに授けて」
「それは・・・どういうことだ?」
「そのままの意味です。母はお産をして亡くなりました。死因は出血多量です」


あたしは、涙一つ見せず戸惑い一つ見せず、校長先生と担任の瞳を見つめていた


「父がいなくて、うちは母子家庭です。母が命を削ってまで子供を産みました。それは最後にあたしが一人にならないためだとあたしは思います」


あたしの決意は絶対揺るがない


「だから、これからあたしは育児で忙しくなります。でも、学校を辞めたくありません。出席日数なら勉強でなんとかします。出来るだけ学校へ来ます、だからあたしをこの学校から追い出さないでください!お願いします!」


校長先生と担任に頭を下げて、必死にお願いした


“お願いします”を何度行ったことだろう


数え切れないほどあたしはお願いしますとお願いした


「・・・分かった。認めてやる。でもちゃんと来れる日はくること!勉強頑張ること!それが条件だ。いいな?」
「・・・はい!ありがとうございます!!」
「あと!今日は、授業受けていきなさい」


先生の言葉にうなずいて、校長室を出た