「いいんだよ健太、もう謝らなくていいんだ」


健太君のお父さんは健太君に頭をあげさせた


「謝ったって母さんは帰ってこないんだ・・・俺らでちゃんと立派に育てよう。父さん毎日がんばって働くから」


健太君の眼には、涙が溜まっていた


「よかったね」


健太君に笑顔を向けてあたしは、手を離した


「じゃー、あたし帰るね!今からやらなきゃいけないことがいっぱいあるの」


手を振ってはなれると、健太君はもう一度手をつないできた


「・・・えっ?」
「ありがとう。莉子のおかげだ。本当にありがとう!」


健太君はそれだけいうと、また病室に戻っていった


あなたの後ろ姿、決意決めた背中してる


たくましいあなたの背中に、抱きついてしまいたくなった


あなたの背中を見ていると、いつだって泣きそうになった


「・・・ありがとう」


健太君の背中につぶやいて、あたしも家へ帰った


ママの荷物どうしようかな


おばちゃんに聞かなきゃ・・・