「姫依、落ち着いた?」
「...っうん」


目をたくさんこすっていた姫依の目は大きく膨れ上がっていた


「ご飯食べれる?」


健太は状況を把握したのか、優莉と健斗君を連れて2階に上がっていった


「うん、食べる」


無表情のまま姫依はあたしにそう言った


姫依から離れてキッチンに立ってご飯をよそっていった


どうしてだろう、姫依の彼氏あんなに優しそうな人だったのに、何を根拠に暴力なんて振るってるんだろう


彼女を苦しめて楽しいのだろうか


姫依を見ると胸がズキンとなった


「姫依、ご飯だよ」
「うん、ありがとう」


姫依は無理に笑って椅子に腰を下ろした


姫依の前に座ってあたしもご飯を食べようとおかずに手をつけた時、姫依の携帯が音を鳴らして震えた


「姫依....もしかして出てきたの?」
「...ごめんなさい」


姫依はとりつかれた人形のように謝り続ける


そうやっていつも彼氏に謝ってきたの?


そうやって何度も何度も謝って涙を流しながら我慢してきたの?


ごめんね築いてあげられなくて


最近姫依からの電話が来なくなったなってずっと気になってた


でも姫依も忙しいんだと思ってたのに、こんなことになってるなんて


「姫依、電話にはあたしが出るね」


姫依の携帯を手にとって携帯を見つめる


表示には姫依の彼氏の名前が出ていた