「15歳」


彼女は小さな声で呟いた


「そう、15歳なの。赤ちゃんできちゃったの?」
「そうだよ、たった1回したくらいなのにできちゃったの」


たった1回


若いお母さんたちはたった1回と言う言葉をいつもいってる


たった1回が不運を招くことだってあるよね


「そう、でもね1回でできる確率って大きいの。貴女にとったら1回かもしれないけど、赤ちゃんはその1回の可能性にかけて生まれてくるの」


あたしの話しを真剣に聞いている彼女


「貴女のお腹の中に居る赤ちゃんは、あなたとあなたが愛し合った男のことの赤ちゃんなんでしょ?」


1度だけでも、好きな人となら


「うん。大好きな人とだもん。だからあたし産みたいんだもん、なのにママ許してくれないんだもん」


お母さんの気持ちも分からないことはない


「まだ15歳だもんね、でも15歳でも立派なお母さんになれるよ」
「えっ!?」


たぶん彼女は、あたしも赤ちゃん諦めたほうがいいっていうと思ったんだろう


目をめいいっぱい見開いてあたしを見てきた


「貴女は、誰なんですか?」


ずっと口を閉じていた彼女のお母さんがあたしを疑いの目で見てきた


「あたしですか?ここの助産師です」
「えっ!?お姉ちゃん先生なの?」
「そうだよぉ、先生なの」


2人して目を大きく見開いた


「ちょっと待ってて、貴女の相談相手になってあげるわ」


あたしはその場に彼女と彼女のお母さんを残して更衣室へ再び戻った