それは、あたしの妄想だったの?


ねぇ、あたしの妄想?


自分の指から、今日もらったばかりの指輪をはずして健太君に投げつけた


「....最低‼‼‼健太君なんか大っ嫌い‼‼‼‼‼」


健太君に近寄って一発頬をひっぱたいた


ひっぱたかれた健太君が顔を上げた時の表情


それは、すごく傷ついた顔だった


そ―言ってあたしは、健斗君と優莉を置いて、一人で家に帰った


あたしの後ろに居た優莉は大泣きだったけど、そんなの気にすることできなかった


未だ涙は止まらず、ベッドの中で丸まって涙を流していた


泣きながら帰ってきたあたしを、姫依は何も言わずにそっとしておいてくれた


そのあと、姫依が優莉を迎えに行った


帰ってきた優莉は未だに泣いてる


優莉が泣きやむのは、あたしが微笑んだ時


姫依がたくさん優莉を慰めていた


たまに姫依があたしをリビングに呼び出してたけど、あたしはいけなかった


頭が回らなくて、笑える力なんかなくて、どうすればいいか分からなかった


ただ覚えてるのは、優莉の鳴き声と姫依の困り果てた声だけだった


泣き疲れて眠ってしまったあたしを起こしたのは姫依だった


「莉子、何があったの?」


姫依は本気になると、いつもの口調がなくなる


あたしはベッドの上で上半身を起こして姫依の顔を見た


「...健太君女の人に囲まれてた。あたしのこと彼女じゃないって言った。あたし殴って指輪投げつけて一人で帰ってき....た」