こんな憎たらしい男に
こんな情けない男に
こんなよわい男にあたしとママは騙されてた


こんなこんな男に....ママは殺された


「優莉のお父さんがあんただなんて、ママの恋人だったのがあんただったなんて....あたしあなたのこと許さない!チャラチャラしてるあなたを一生恨み続ける‼‼‼」


ふざけてる....ママが死んだってもう知ってるのにへらへら笑ってる


こんな男、あたしがいそのこと殺してやりたい


思いっきり健史朗さんを睨みつけているあたしを見かねた健太君があたしを後ろから抱きしめた


まるで、触れちゃえば壊れてしまうものを包み込んでいるような


そんな優しい腕だった


その腕にふっと我に返った


振りかえって健太君を見つめた


目があって、健太君はにっこり微笑んであたしから離れた


「莉子と優莉ちゃんを泣かせる奴は俺が許さない、莉子をこんなに泣かせたお前を絶対に!!あんたもう年でしょ?お・じ・さ・ん!」


健太君が健史朗さんをバカにした後、健史朗さんに近寄って一発彼を殴った


まるでスローモーション化のように健史朗さんが後ろに倒れ込んだ


それを見届けた健太君がこっちを向いてVサインをした


健太君の手には健史朗さんの血が付いていた


彼の手を包み込んであたしは涙を流した