涙を流しながら彼を強く睨んでいたあたしの隣から怒りに満ちた声が聞こえた


「お前のせいで、莉子の母親は死んだんだぞ！？」
「バカなこと言うな！俺のせいじゃねぇよ‼妊娠してたなんて知らなかったしよ！」


知らなかった！？


「なにあんた、隠しごいたわけ？」
「冗談だろ！？俺に隠し子なんていねぇよ」


隣にいた女性は怒ってどこかへ行ってしまった


それを追いかけようとする健史朗さんを健太君が掴んでとめた


こんなに怒った健太君、愛斗くんの時以来だ


「ママが死んでから、あたしあなたをすっごくすっごく恨みました。ママは一人で出産して一人で死んでいったんです‼本当なら、あなたがいるはずだったのに！！ママが死んだことも知らずに女と遊んでばっかのあんたをあたしは軽蔑するよ！」


あたしの言葉に、健史朗さんはなにもいい返してこない


「ママを...ママを返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼‼‼」


彼につかみかかるあたしを止めたのは健太君だった


「莉子っ！落ち着け」
「ママじゃなくて...お前が死ねばよかったんだよ‼‼」


止める健太君から離れようとしたけど健太君はあたしを離さなかった


「俺なんも聞いてねぇって‼言いがかりはやめろ‼‼くそガキが‼」


そんな言葉であたしの気持ちは亡くなっていくのだろうか


「あたしが、どれだけ必死に優莉を育ててきたか分かる!?お前には分からないでしょうね‼」


こんな、人生チャラく生きてるあんたにはあたしの苦労は分かんないよ！


「なにもかも諦めて、何もかも失ったあたしの気持ちを‼‼‼‼」


こんなに人を憎んだことのないあたしは、口から出る自分の言葉に耳を疑ってばかりだった