「はい、飲んで」


 テーブルにはコーヒーと紅茶が並んだ。


「百合子が淹れたの?」

「まさか」

「なら安心だ。 いただきます」

「……楓ちゃんタバスコ持ってきて。彼には刺激が足りないみたい」

「えっ ………ええっ?!」



 そんな三人のやりとりを聞きながら俺は出されたコーヒーを一口飲み、ゆっくり深呼吸をした。






 三田先輩が白河ではなく光陵を受けたのは、立花先輩がいたから。


 三田先輩はずっと立花先輩が好きで……誰も立花先輩の進路が光陵だと知らない中、三田先輩だけは知っていて。

 光陵の受験日に立花先輩を見送った後、三田先輩も「受けるんだ」と言った言葉に、俺と楓、茂木は本当に驚いた。


 ………当の立花先輩だけは入学式まで知らなかったみたいだけど。



 ストーカーにも近い三田先輩に折れた形になり、やっと二人は結ばれた。