『もしもし! 皇か?楓か?!』 通話ボタンを押した瞬間―――おじさんの切羽詰まった声。 「……皇です」 俺の声は震えて。 受話器から漏れた声に、楓も何事かと俺を心配そうに見た。 『皇君! 落ち着いて聞きなさい…っ 家からそばの交差点でお父さんとお母さんの車が事故に遭った』 ぐにゃりと視界が歪む。 『今すぐ病院に来なさい! 楓も一緒に!』 その後のことは、あまり覚えてない。 .