この会話を聞いた土方さんがギャアギャア文句を言っていたが、近藤さんがそれを黙らした。そう言えば隊長は近藤さんに「今度は私と寝て下さいね。」と言っていたな。
「…近藤さん。」
「ん?なんだい雪君。」
「いやー、まだ助けて貰った事を御礼を言ってないことに気付いてね。…ありがとうございます。」
「敵じゃなかったからね、雪君は。だから助けた。それだけさ。」
そう言って笑う近藤さん。その顔を布団の中から見た。
「…うーん。でもそれで俺は助かってしな。まぁいいか。お休みー、近藤さん。」
「うん。お休み、雪君。」
脇腹の痛みですぐには寝れそうにならなかったが一応そうあいさつしといた。
その後すぐに近藤さんの寝息が聞こえて来る。
「……あぁ、あいつは絶対に殺してやる。復讐をしなければ、しなければ…!」
だが、それはそんなに簡単なことではないだろう。
現に今日は失敗をした。
それを脇腹のこの痛みが教えてくれる。
好機があるまではジッとしてた方がいいだろう。脇腹の回復も心得なければいけないし。だからここでは怪しい行動に見えることは控えなければいけない。土方さんはまだ俺のことを認めてなかったみたいだし。……隊長も、案外鋭そうだしな。
あーあ、普通に生活してれば大丈夫かね?
近藤さんもまだまだ餓鬼な俺をよく入れたなー。………俺、まだ14歳だぜ?
年は言ってないから14ってことに気付かなかったのかね?まぁ身長はあの部屋にいた全員よりも高いからなー。
ちょっ、凄くね!?
………駄目だ。寝れない。無駄に明るくしてたけどズキズキ痛む。
それに、天井裏からの視線が少しだけど感じる。…こりゃ土方さんの勅命かな?
近藤さんに手を掛けたら容赦なく殺せ、とか?
笑っちゃうよ。この俺が近藤さんに手を出すわけないのにね。
そりゃこの年で人を殺してますよ?
今日のあの時だって何人…いや何十人は殺したし。
だが、それは邪魔だったからだ。
恩人に手を出す程殺人をしたいと思わん。
「……………あーあ。なんで俺が生きてるの?」
この呟きは無意識に口から出ていた…――。