それから近藤さんの「雪君を休めよう」という有り難いお言葉で二人は出て行った。なんて言い人なんだ近藤さんは。
「いやいや~近藤さん有り難うございます~。」
「ん?何がだい?」
じ、自覚なしだと!?これは…なんてお人好しなんだ!
「………いや、何でもないよ。」
「…そうか?それよりも雪君もちゃんと休みなさい。」
「は~い。……今眠いから寝ちゃいます!」
うふふ。マジで眠い。布団を掛けてもらってしまったよ。瞼を閉じるとどんどん眠気に誘われて意識を失ってしまった。
「…………俺はここから出て行こうかな。」
そっと気付かれないように気を使いながら自室を出て行く近藤さんに俺は気付かないままだった。
暗い。
暗い。
ここはどこだろう?
わからなくてキョロキョロ辺りを見回すと昔住んでいた家だとわかる。
そして暗いことから察すると真夜中なのだろう。
どこからか声が聞こえて来る。だんだんそれが大きくなってきて何言ってるのかわかる。
――――あたしね、なにもかんじないの。
感じない?
ああ、そっか。心が壊れたんだね。
――――ねぇあたしがしんだら……どうなる?
そう問われて、そのときにならないとわからない。と答えたような気がする。
ああ、そうだよ。
結局この女の子、死んじゃったんだ。
ずるいな。心が壊れたなんて。
俺は壊れないからずっとつらいのに。